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ワインとカビ…

飲み頃になるのにしばらく時間のかかるワインは瓶詰めされるとしばらくは蔵元の
ワイン貯蔵庫に寝かされます。
この貯蔵庫、つまりワインセラーは気温15℃前後で湿度が80%以上、ワインを
熟成させるのに理想的な環境になっています。

湿度が必要なのはコルクの乾燥をふせぐため。コルクは乾燥すると縮んでしまい
ます。ワインボトルの口を塞いでいるコルクが縮んでしまうと、ボトルの中の酸素の
出入りが激しくなってワインの酸化が進んでしまいます。これではワインの熟成は
うまくいきません。ワインが美味しく熟成するためにはコルクを乾燥させないように、
ある程度高い湿度が必要なのです。

湿度の高いワインセラーで熟成したワインは、より美味しくなるというわけです。
だから湿度の高いワインセラーがより素晴らしいワインセラーということになります。

さて、湿気といえば思い浮かぶのが「カビ」。
良いワインセラー=湿度の高いワインセラーの目に見える「証(あかし)」は、
この「カビ」なんです!。カビの生えたワインセラーこそ、理想的なワインセラーで、
カビまみれのワインこそ、理想的な場所で、理想的に熟成した、素晴らしいワイン
なのです!

蔵元ではカビまみれのワインにラベルを貼り、キャップシール(ワインボトルの口に
かぶさっているスチールやビニールの、あれ)を被せます。もちろんコルクや瓶の口
はカビまみれのままです。

つまり、ワインを飲もうとした時に見られるコルクのカビは、そのワインが良い環境で
良い状態で熟成した、良いワインだという「証」なんですねえ~。
「つまり、ワインを飲もうとした時に見られるコルクのカビは、そのワインが
良い環境で良い状態で熟成した、良いワインだという『証』なんですねえ~。」

ということでしたが、じゃあどんなカビでも大歓迎なのでしょうか。
カビと言えば、湿気と同じく思い浮かぶのは、ジメジメした“暑さ”ですよね。
カビが生えるのは涼しく湿ったワインセラーの中だけではありません。
むしろ蒸し暑いところだと、もっと生き生きしてません?

つまりワインのコルクのカビは蔵元のセラーの中でのもの、ではなく、
蔵元からお手元に届くまでの間に、あるいはお手元に届いてから、
ワインを開けるまでの間に発生したものである可能性もあるわけです。

その場合でも理想的な保存状態のなかで発生したカビであることもありえます。
輸入業者の定温倉庫の中とか酒屋さんのワインセラーの中で発生したカビかも
しれません。
でもその逆もありえるわけです。それらの保存場所がサウナみたいな所だった
かもしれないのです。

ワインは20度以上の温度の中に長期間置かれると著しく劣化します。
つまり、問題はカビよりも、ワインが置かれていた環境なんです。
蔵元からのものではないカビが付着しているということは、蔵元以外のどこかに
長期間置かれていたということになります。
そこの環境はどんなものだったのか・・・・・そのことが気になってしまうのが、
この「カビ」付きコルクのワインなんです。

さて、それでは蔵元のカビとその後のカビの違いですが、蔵元のカビはコルクと
瓶の口にしっかりとこびりついている「黒カビ」です。古そうで地味なカビです。
一方その後のカビ、特に暖かい所で発生したと思われる、ワインの劣化を疑わ
せるカビは、白かったり紫だったり、ちょっとふわふわしてたり、コルクとキャップ
シールの間に分厚く密集していたり、・・・・・そんな新しそうな、ハデなカビは
ちょっと怪しいです。

そんなカビは自宅でも簡単に育てられますので自宅で長期間保管される場合は
お気を付け下さい。でも何度も申しますように、カビそのものが悪いということでは
なく、そんなカビが育つような暖かい環境が、ワインの保存にとって問題があると
いうことですので、お間違えのないように。


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